キネシオテックス(専用テープ)の素材・特徴について
- 素材、粘着剤、厚み、剥がし方、伸縮性について
素材、粘着剤、厚み、剥がし方、伸縮性について
職人は自分が使う「道具」について熟知している必要があります。
みなさんが使う「道具」について特徴を知っておきましょう。
キネシオテーピング法のコンセプトを理解する上で素材の理解が
必要となります。
■素材:
キネシオテックスは100%繊維性で包んだウレタンポリマーを
伸縮性のひも状にしたものです。綿繊維を使用したことで水分が
蒸発しやすく、むれにくい、お風呂に入った後も乾きやすく通気性に
非常に優れています。口を閉じてキネシオテックスを
貼ってみてください。ちゃんと呼吸ができます。
■粘着剤:
アクリル樹脂100%で肌荒れの方でもかぶれにくくなっています。
また体温により粘着性が増すので、一旦身体(皮膚)に
なじむと剥がれにくいのが特徴です。貼り終わったら、
手でこすり、必ず摩擦熱を加えてましょう。
裏紙を剥がしてみると確認できますが、粘着剤は「波型」に
塗布されていて、全面にべっとりついているわけではありません
(下図)この塗布の仕方により通気性が向上しています。
約20分くらいで完全に身体になじみますので、夏場に使用する場合は、
汗をかかない涼しいところで貼り、身体に完全になじませた後に
外出された方がいいと思います。
注意すべきは、裏紙から剥がした状態では粘着度が弱いので
(易剥離性)、テーピングに失敗した場合、もう一度貼りなおすことは
できません。一回勝負と覚えておいてください。一度講習会で、
「このテープは不良品じゃないですか?」と指摘された
ことがありましたが、よく話を聞いてみると、全てのテーピングで
一回身体に貼り付けた後に、やり直しで全部剥がしていたそうです。
みなさんも気をつけてくださいね。
最後にこの粘着剤は常温保存で約1~2年は品質が
変わらず保管しておけます。
■厚み:
重さや圧迫を認知する受容器に対して、いたずらに知覚刺激を
与えないことを意図した厚みです。
みなさんも貼ってみればわかります。上手に貼れたテーピングでは、
ものの10分程度で貼られていることを感じなくなります。
講習会で数枚貼った後に、
「さあ、今何枚貼られているか言える人いますか?」と質問すると、
たいていの方は「あれ、何枚だっけ?」と答えられないものです。
「意識しなくなる」ということは非常に重要なことです。
なぜならばキネシオテーピングは少なくとも1日、ベストは3日間くらい
貼り続けた方がより効果が期待できます。
意識しなくなるということは、身体に負担が少なく、
それだけ長く貼っていられるということになるからです。
■剥がし方:
裏紙(セパレーター)から剥がした状態では粘着力が弱いと
感じるので、「剥がれやすい」と認識していると痛い目に
あってしまいます。
特に皮膚の柔らかい部位の場合、一気にベリッと剥がしてしまうと
皮まで持っていかれてしまうので注意をしてください。
私も一度だけ経験があります。非常に痛いです・・・
特に股関節、脇の下近辺は皮膚が柔らかいので注意しましょう。
剥がし方はキネシオテックスを皮膚から剥がすというより、
「キネシオテックスから皮膚を剥がす」イメージで行ってください。
キネシオテックスを剥がそうとして持ち上げた際に
皮膚も一緒に少し持ち上がると思いますが、その皮膚を
元の位置に戻してあげるイメージです。あと毛深い人の場合は
毛並みに沿って(毛根から毛先に向けて)剥がします。
逆に剥がすととても痛いですよ。念の為言いますが一気に剥がすのは
NGです。
■伸縮性:
キネシオテーピングを勉強する上で非常に大事な要素になります。
キネシオテックスはテープ長の方向には伸縮し、テープ幅の方向には
伸縮しない設計になっています。
(この伸縮しない特性を利用するテーピング法もあります)
伸縮率は約40%と皮膚の伸縮率に近似しています。
トレーナー養成講座、筋肉別1~4までは、「テープを引っ張らずに
皮膚の上に乗せてあげるイメージで貼りましょう」と習いますが、
「コレクションテープ」と「特殊テープ」では、この伸縮率を利用して
(テンションを掛けて)、テーピングを行います。
また「ビューティーキネシオテーピング」の講座では100%テンション
をかけて歪みを正すという今までになかったキネシオテーピング法
が学べます。(肘部にテーピングを施し、わき腹をすっきりさせる
テーピングがあるのですが、非常におもしろいですよ)
ちなみにこの伸縮性は弾性ポリマーの効力が小さくなるまでの
3日~5日間は有効だそうです。また、キネシオテックスは
裏紙(正式にはセパレーター)に10%伸張された状態で
貼られています。
よって理論上、1mの長さにカットしたい場合は1m10cmに採寸する
必要があります。つまり、1mの場合は裏紙からテープを剥がすと
10cm分縮んでしまうということです。
(もちろん製品バラツキはあると思いますが)
よって坐骨神経痛テーピング、上腕神経テーピング等の
長いテーピングを貼る場合はセパレーターから剥がした後に、
10%縮むということを頭に入れて採寸する必要があります。
上記の伸縮性は「身体親和性」に密接に絡んでくるので、
覚えておいてください。